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2016/04/16

Après


Wikipedia

この作品に関わるイギーとヴァージンEMIとの確執はぐぐればいっぱい出てくるのでそちらを参照していただきたい。
ストゥージズはイギーにとって懐メロバンドではなく現役バンドだったから、被る作品は作りたくなかったんだろう。

シャンソンは全く知らない自分だが、一時期はこれとPréliminairesばかり聴いていて嫁を気味悪がらせた。
陰のPréliminairesと陽の本作というコントラストがちょうど良く、そのうえフランス語とイギーのヴォーカルのハマり具合が素晴らしい。元曲をよく知らないからかも知れないが。
要するにやっぱり歌が上手いのだな、イギーは。

前作Préliminairesがフランスでロングセラーを記録したこともあってか、フランスをピンポイントで狙ってきたカヴァー集。ビートルズのカヴァーがMichelleなのもフランス狙いか。

このアルバム。フランスチャート初登場&最高位 3位という情報があり、実際に以下のページを見るとそう書いてある。
http://www.chartsinfrance.net/Iggy-Pop/charts.html

ところが、作品の詳細ページに移ると初登場&最高位 5位
http://www.chartsinfrance.net/Iggy-Pop/Apres-a114252592.html

別のチャート情報でも初登場&最高位 5位
http://www.lescharts.com/showitem.asp?interpret=Iggy+Pop&titel=Apr%E8s&cat=a

誤植が一人歩きしてしまったのか、発表元が違うのか。いずれにせよ大ヒットには違いない。一度104位に落ちた後、42位に再浮上したりしているし。

さて、聴きっぱなしで詳細は放り出していた本作のオリジナルを、いい機会なのでざっくり調べてみた。

1. Et Si Tu n’existais Pas (Joe Dassin)
フランス語読みはジョー・ダッサン
フランスの大スターでWikiに項目あり。日本で耳にする「オー・シャンゼリゼ」はこの人の歌が多いらしい

2. La Javanaise (Serge Gainsbourg)
ゲンズブールはロックファンの間でも有名なのでパス

3. Everybody’s Talkin' (Harry Nilsson)
これも有名なのでパス

4. I’m going away Smiling (Yoko Ono)
これは最近の曲。イギーはオノ・ヨーコと同じイベントに出たことがあるらしいので、その時耳にしたものと思われる。
http://musicshelf.jp/blog/selector/2009/09/post-102.html

5. La Vie en Rose (Edith Piaf)
言わずと知れた吉川晃司のヒット曲じゃない方
聴くと「ああ、聴いたことある」
日本で最も有名なエディット・ピアフのフォロワーは越路吹雪

6. Les passantes (Georges Brassens)
ジョルジュ・ブラッサンスという人で、フランスの国民的大スターなのだとか。
と書いていて、寺山修司のエッセイでこの人のことを読んだのを今思い出した。
「寺山修司 ブラッサンス」でぐぐると結構出てくる。
訳詞のページも見つけた。タイトルは「行きずりの女たち」という意味だそうな。
http://www1.gifu-u.ac.jp/~frjp/bases/brassensjp/octi/sub17.htm

7. Syracuse (Henri Salvador)
アンリ・サルバドールという人で、フランスでは国民的人気のあるマルチタレントらしい。
この人もWikiに項目あり。歌の解説も見つけた。タイトルは地名(シラクサ)
http://blog.livedoor.jp/aara/archives/51654112.html

8. What is this Thing Called Love (Cole Porter)
9. Michelle (Lennon-McCartney)
10. Only the Lonely (Frank Sinatra)
有名な方々なのでパス
あ、イギーはシナトラのDUTESシリーズに出たかった、とか言ってたな。
「アクセル・ローズ呼ぶくらいなら、俺を呼べよ」って。
アクセルはシナトラとデュエットしていないが、噂があったらしい。

ところで、ヴァージンEMIとイギーの契約がだいたい3年に1枚新作をというものだった、という前提でだが自分はひょっとしたらこの作品は繋ぎだったのかなあ、と考えていたりする。

製作順としては、ストゥージズの番である方が自然、でもソロアルバム。
プロデューサーは前作で手合わせしたばかりのハル・クラジン
内容は作詞作曲の必要がないカヴァーアルバム
最初からPréliminairesとの姉妹盤を作る構想があったとしても製作時期がちょっと離れすぎ
4/24追記・作品がやたら短い(29分弱)のは、カヴァー曲をある程度選別したうえで、Préliminairesと同じくオリジナル曲と混在させる予定だった?

この頃のストゥージズを取り巻く環境は、スコット・アシュトンが2011年に倒れてしまい、ジェイムズ・ウイリアムソンは復帰してすぐツアー三昧(2年3ヶ月で60カ所くらい)という、30年ブランクの人には厳しいスケジュールを何とか消化した後。これでは2012年中のストゥージズの新作リリースは無理かも、と考えたイギーが苦肉の策で本作を製作したの発売を提案した、というストーリーもそんなに無理ない感じがする。前作が受けたフランス市場狙いなのもレーベルに多少は気を遣ったのかも。

4/25訂正
本作の製作は2010年から断続的に進めていたから、急にレコーディングしたわけではないので訂正

もっとも、イギーとレーベルがそんな契約を結んでなければ、この説は木っ端微塵ではあるが。
ただ、ヴァージンEMIほどの巨大レーベルが、アルバム1枚の内容でムキになるのも不自然な気がするので、こんな考えが浮かんだ次第
レーベル側が「次作はストゥージズが無理ならソロでロックアルバムを」と言い出して、それに対して「せっかく契約に間に合うように作ったのに、なんだその言い草は。それにソロとバンドで被ってどうする」とか返して話がこじれたのかも知れない。イギーの「奴らは有名パンクスと組んだロックアルバムを欲しがったんだ」という発言は、その交渉の名残か。でも、それってSkull Ringだな。あれは売れなかったけど。

いずれにせよ、今回のビジネス判断はイギーがメジャーレーベルより上手だったということで。
ヴァージンEMIって、イギーに余計な幻想を抱いた元パンクスの幹部、とかいそうだしな。

それとWikiでは発売元となっているThousand Mile Inc。
これってイギーの版権管理会社じゃなかったか。以下のサイトで調べるとそんな感じがする。
https://www.discogs.com/ja/label/268871-Thousand-Mile-Inc

4/25追記
特に補強になる情報でもないが、参考として。
Wikiで改めて本作のレコーディング期間を見てみると、2010年2月から2011年6月までとやたら長い。
ツアーの合間に断続的に進めていたようで、完了とほぼ同時にストゥージズの2011年ツアーが開始されている。
そして本作の発売は1年近く寝かされた2012年5月。その直後にストゥージズのツアー開始。
1年ヴァージンと揉めたのか、これから1、2年かけて再構成するつもりだったのかは不明だが、スコットに健康問題が生じた時点(2011年7月)で
「心配するな、来年出す作品ならある」
と提示したら拒否られて揉めだした、という可能性はある。
2012年のツアー直前に「なら、もういいよ」と交渉を引き上げ、ツアーと本作のプロモーションを同時に進め、各国でそれなりの売上を記録しつつ話題を繋ぎ、そのままストゥージズの新作に雪崩れ込むという流れを意識的に作ったのなら、イギー(或いはその周囲のアドバイザー)はなかなかのビジネスセンス。
ひょっとしたらエリートビジネスマンだったウイリアムソンのアイデアだったのかも、と勘ぐりたくなる。

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