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2016/03/29

Soldier


Wikipedia

1曲目のLoco Mosquitoのやっすいピコピコアレンジには寒気がするが、これも80年代の業として許して欲しい。ピコピコしないテクノ・ビッグビートも進化したテクノロジーの産物なのだよ。
今回のイギーの右腕はシド・ヴィシャスにピストルズを追い出されたグレン・マトロック (Wikipedia)
彼の名前がやたら大きく表記されるアルバムだが、実はプロデューサーのパット・モラン (Discogs)もそこそこ大物。

自分は「このアルバムのオーバープロデュースな仕上がりを気に食わなかったイギーはウイリアムソンと絶縁した」と覚えていたのだが、賢明なる諸兄はご承知のとおり、ウイリアムソンはアルバム製作中にクビになった、というのが正しい。
クビの原因は「オーバーダブにオーバーダブを重ねようとして激怒したイギーに追い出された」「ゲスト参加したボウイと衝突した」等々書かれてはいるが、原因は1つではなくて色々重なってクビになったのだろう。

4/27訂正
最近読んだKQEDのインタビューによると、ウイリアムソン側から見た場合、以下のような事情があったらしい。
・イギーはソングライティングをグレン・マトロックやバリー・アンドリュース(XTC)と行っていたが、そのことについてウイリアムソンは聞かされておらず、しかも彼が不在の間に行われていた。
・ウイリアムソンはそんなマトロックやアンドリュースとは反りが合わず、毎日イライラしていた。
・最後にボウイがやってきて、沈んだスタジオを盛り上げようとどんちゃん騒ぎのインスト合戦を開始し、仕事を進めたかったウイリアムソンの堪忍袋の緒が切れた。
・これでイギーとウイリアムソンの間で言い争いが起こり、ウイリアムソンは“やってられない”とスタジオを去った。
・そういうわけで、ウイリアムソンから見るとイギーから一方的にクビを告げられたのではなくて、自分がばっくれたことをイギーが追認した、という感じらしい。
・ちなみウイリアムソンがプロデュースを引き受けたのは、New Valuesと同じく金のためで、音楽業界から足を洗うのは既定路線だったらしい

これでウイリアムソンは(予定どおり)音楽業界から足を洗い、大学に入り直してIT業界へ転身する。

転身後、AMDを経て、ソニー・アメリカ(ソニー・ミュージックエンタテインメントではない)の副社長にまで登り詰めたのだから、賢明な判断だろう。

マトロックのソングライティング力はジョン・ライドンも評価している、というかピストルズの代表曲を書いたのはマトロックだった。だから右腕としてはなかなかな存在で、右腕には妙に恵まれるというイギーの特性を表す1人。
アルバムのライナーノーツもWIkiもイギーが単独で書いた曲は5曲だけということで一致。
代表曲で伝記のタイトルにもなっているI Need Moreもマトロックとの共作で、なんで1枚で袂を分かつことになったのかが不思議。本作のレコーディング時のゴタゴタに嫌気が差したのかも知れない。

で、肝心の内容。悪くはないが全体的に軽い。
いや、当時のアルバムとしては妥当な仕上がりなんですよ。でも、40年近く経ってから聞き直すとアレンジの風化ぶりに鳥肌が立つ。90年代に聞いた時も十分古かったが「一周して」もかっこよくならないのが80年代の厳しさなんだよなあ。
曲も悪くないのだが、これも「軽さ」に貢献してしまっている。身も蓋もない言い方をすると「ストゥージズっぽく歌う」曲ばかりで、全体的に平板。イギーがストゥージズ風パフォーマンスをするにはバックにはハードさが求められるわけで、そうでないとヴォーカルの甲高さが目立つ軽い仕上がりになってしまう。The IdiotとLust for Lifeでその奥深さを披露したヴォーカルをこういう風に使うことはないよなあ、という惜しさが先に立つ。
おそらく、90年代に入ってから示し始めたソングライティング力が、この頃のイギーには無かったんだろうな。

ウイリアムソンからプロデュースを引き継いだパット・モランはアルバムのライナーノーツでは烏井賀句に罵倒されたりしているが、リンク先の情報から分かるとおり、案外な腕前の持ち主。しかし、さすがにキャリア最初のアルバムで且つ途中からの引継ではイギーの特性を活かすまでは行かなかった模様

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