ブラッディ・カンザス

先週末はこれと「ロング・グッドバイ」を読んで家事も雑事も何にもせずに見事に2日間潰してしまった。完全ダメ人間モード。書評家ってのはそういう毎日を送っているのかなあ。
そんな個人的事情はともかく「ブラッディ・カンザス」。著者の人気シリーズV.I.ウォーショースキーものとは直接の関係はない。ミステリーでもない。強いていうと主人公一家の父親の兄がシカゴで弁護士をしていることくらいか。ウォーショースキーものは読んだことがないから知らないけど。
911前後のアメリカ中西部(バイブルベルト)で派手に取り上げられやすい出来事を織り込んで作り上げられた「アメリカ農村事情」。挙げてみると
イラクにおける肉親の戦死
白人を「白い土人」化するキリスト教福音派の興隆
隠れた同性愛
学力よりもアメフトの成績が重視される教育事情
等々。町山智浩の著作に親しんだ人にとってはおなじみの話ですな。
1つの田舎町(もっと言えば1つの家)でこんなに色々起こるのか、ちょっと道具立てが都合良すぎないか、展開が早すぎないか、という点は読んだ後に気がつく。細かい描写の積み重ねで、読んでいる間はそういったことを感じさせないのが作者の力量、訳者の力量。
ただ題名の元となった歴史的事件とストーリー自体はそんなに関係がない。せいぜい主人公一家の母親がその時代の日記を見つけて執着していることくらい。南北戦争時から続くサーガ物みたいなつもりで読み始めるとちょっと肩すかし。そんなサーガものだったら1冊には収まらなかっただろうけど。
割と「え、これで終わり?」ってな感じの終わり方なので、恐らく続編はあるだろうな。
しかし「田舎町の狂気」ってなんか既視感があるなあ。あ、ジム・トンプスン(New York Timesの格好いい写真)か。こちらは主人公が狂気なんだけど。
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