本格的スポーツモデルNSXの生産を終了(ホンダ公式サイト)
「人のやらない事をやる」「レースは最高の実験室」、そんなホンダイズムが生んだ最高傑作、NSXが15年のモデルライフに終止符を打つ。
量産車メーカーがスーパースポーツを手がける事はまず無い。
スーパースポーツメーカーを傘下に置くような事はあるが、自身が開発に乗り出すような例はほとんど聞いた事がない。
モンスターチューンドカーを次々と生み出すドイツ勢にしても、スーパースポーツをゼロから開発するような事はない。
SLRマクラーレンなんてそれっぽいクルマもあるが、7速トルコンATを搭載したこいつはスズキがエスクードで設定するヘンリー・ハンセン・リミテッドのセレブ版みたいなもので、その証拠にレースフィールドに投入するという話は聞かない。マクラーレンF1は未だに現役で走っていたりするのに。
日本車を代表するもう一方の怪物・GT-Rにしても、日産のFRプラットホームを垂直展開させたものであり、ゼロから生み出したものではない。2007年に出る新車もそうなるようだし。
そういった点で「人のやらない事をやる」ホンダイズムの面目躍如。
F1という最高峰、即ち「最高の最高の実験室」で培った経験あってこそ与える事の出来た動力性能に加え、量販車メーカーならではの品質管理能力によって仕上げられたこのクルマは、スーパースポーツの名に恥じず、ラテン勢を慌てさせるのに十分なものだった。
とはいうものの、当時のホンダはF1ではまだトップクラスだったが、会社経営は苦しく「三菱ホンダになる」「フォードに買収される」という噂が囁かれていた頃でもあった。
「人のやらない事をやる」コンセプトでたまにヒット作は生むものの、自分の真似すら潔しとしないため、同じコンセプトが2度続かない。だから後が続かない。当時の日本車全部に言える事かも知れないが「熟成」とは無縁だった。
また「レースは最高の実験室」という考え方は、クルマにユーティリティ性を求める向きをスポイルした部分もあり、量販車メーカーでありながら「コンセプトを理解してくれない世間が悪い」といった感じの浮世離れした雰囲気を漂わせ「大人になりきれない大メーカー」というカリスマメーカーにありがちな動脈硬化を起こしかけていた。
結局、NSXが発売された2年後にホンダは愛してやまないF1から撤退し、経営の立て直しに注力する事になる。
そして生まれたのがオデッセイ。
「ユーティリティ」が基本のMPVにホンダならではの「走り」を注ぎ込んだありそうで無かったという点でホンダらしいこのクルマは、トヨタの屋台骨を揺るがすほどの大ヒットとなる。
ホンダイズムが世間と折り合いを付けた幸福な瞬間だった。
こうして、その後「新ホンダイズム」とも言うべき道をホンダは歩み始める。
S2000が全く売れなかった事も「新ホンダイズム」化に拍車をかけたのかも知れない。
言うなれば、NSXは旧ホンダイズムのオリジネイターで語り部、S2000はリメイクというか、トリビュートというか。
そしてその語り部が退場する。
NSXが唯一「旧ホンダイズム」を引き継がなかったのは、その長かったモデルライフか。
「ホンダイズム」は日本自動車業界が世界に誇る偉人本田宗一郎が生み出したもの。
だから彼の理想を最高の形で実現させたこのクルマの花道を、拍手と歓声で飾ることが、このクルマを買いたくても買えなかった多くの日本のクルマ好きのせめてもの義務だろう。
「旧ホンダイズム」に基づいたスーパースポーツはもう出ないだろうし。
、、、しかし全世界での通算売り上げが18000台ってのは誤植じゃないよな。
(7/26追記・日刊自動車新聞によると7/24に在庫が完売した模様)
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