ビッグスワンの周囲は基本的に田圃なので、オレンジ色のユニを着た親子が緑一色の中を歩いてスタジアムに向かう、という大変心温まる光景を見ることが出来る。
この光景を見せられたら、どんな極悪プレーヤーでも、思わず手加減してしまうだろう。
そんな和やかな周辺環境とは裏腹に、新潟のスタメンはオゼアス、ファビーニョ、エジミウソンという高さ、速さ、巧さをそれぞれ備えた背筋も凍る兇悪3トップ。
オゼアスは神戸をクビになってどうしたのか、と思っていたが、インテルナシオナルにいたそうな。
ブラジルの名門だが、あの国は「名門」がいくつあるか分からないので、鵜呑みには出来ないにしろ、母国でも失業しない程度のレベルは誇っているということだろう、この選手は。
対する市原のスタメンはトップ下に入るかと思った山岸が帯同すらしておらず、怪我か?
替わりのトップ下は工藤浩平。1節ではちょこっと名前を見た覚えがあるが。。。
このカードは国立で行われた1Legも見ていた。
後半20分過ぎくらいまで中盤を完全制圧した市原が山のようにチャンスを築き上げ、サンドロと巻が作ったチャンスの分だけ外しているうちに、サッカーの神が愛想を尽かして新潟に舞い降りてしまうという内容で、ガラガラのメインスタンドでまったり眺める分には大変面白い試合だった。
サッカーの神が戻ってこなかったのか、市原はこのあと煮え切らない成績で1Legを終えることになる。
で、今回。
オレンジで埋め尽くされたスタンドに、ちらほらと黄色が。
オレンジ軍団マニアの杉山茂樹や馳星周が眺めれば悶絶して失禁するだろう。

試合が始まってみると市原にはミリノビッチがいるので、オゼアスの高さ対策は何とかなっていた。
オゼアスが前線に張るとミリノビッチ、下がると茶野、って具合にマークしていたが、じゃあ、ファビーニョとエジミウソンはどうする? 佐藤と中島は守備はイケてないコンビだぞ。
案の定、ファビーニョが大活躍。
寺川、鈴木慎吾対村井、坂本のサイド攻防戦で市原側に軍配が上がりかけるが、ファビーニョの中央突破を止める人間がいない。
そうなると元々スビードが無いミリノビッチでは手に負えず、慌てて茶野あたりが追っかけるしかなくなってお手上げ。
じゃあ、とばかりにどっちかというと守備的な坂本がフォローすべく中央に気を回すと、坂本サイドから突破されてしまう悪循環。
新潟の攻撃は、ある程度兇悪3トップに「お任せ」にしているようで、これが対市原にはハマった。
真ん中に「攻撃の遅らせ役」がいないこのメンバーの市原だと、上記の通りファビーニョのやりたい放題。
象徴的だったのは2点目(だと思う)。
村井がヤバい体勢で競り合ってるとき、マルキーニョスがそばで突っ立って見ているだけで、他は誰もフォローに来ない。
予想通り村井は競り合いに負けてしまい、ボールはそのままファビーニョへ。
全くすばらしいドリブルだった。
地鳴りのような歓声を挙げるサポーターもまたすばらしい。
しかし、ファビーニョが周りに気を遣ってか、情け心を出したのか、他の選手にボールを預けると市原側の一安心タイムになってしまっているのが面白かった。
じゃあ、新潟が圧倒していたのか、というと、2人のブラジル人ウイングのおかげで、寺川と鈴木慎吾はあんまり上がれなくなってしまい、2人とも真ん中のフォローどころか守備自体をあんまり得意としていないので、実質新潟の中盤はスカスカ、市原の押し上げを許しっぱなしという欠点があった。
とはいうものの、これは「市原サイドに人がいない」ということでもあり、ファビーニョのカウンターをさらにやりやすくしちゃったんだけど。
で、市原の先制点は中盤のポゼッションからサンドロ。
奮起したファビーニョにかき回されている間に、マルキめがけて一発フィードという交通事故みたいな得点をもう1点。この得点がサンドロに出来ないんだなあ。
後半の新潟逆転弾もファビーニョのスピードを堪能させてくれたが、ここでお約束、林登場。
「負ける戦もせにゃならぬ」と悟りきり、放り込まれたボールへ向かって駆け込んでいく林と、守備固めに入ったくさい新潟の采配のおかげで本当の意味での「市原の時間帯」が訪れる。
結局セットプレーからマルキーニョスが同点弾を叩き込んだが、これで市原は安心してしまったのか、新潟の攻撃に対してサンドバッグ状態。
しかし、焦ったのかファビーニョかエジミウソンのどっちかが(多分ファビーニョ)ボールをふかしてしまったところでホイッスルに救われた。
今回の試合を見た限り、市原は不在選手のポジションがそのまま穴になってる感じ。
オシムが「ウチはカネもヒトもないから」とよく嘆くけれど、確かに阿部と羽生の不在は市原にとってかなり大きい。
守備力を持つ阿部と、「明日戦争に行くので試合は今日が最後です」と言わんばかりの勢いで走り回る羽生がいないと、速いドリブラーの中央突破に対処できない。
元々、肝心要のミリノビッチがこういうタイプのドリブラーを苦手にしてるので、不在が余計に目立つ。
「前線に飛び出していく」なら林でもいいと思うんだけど、今回はなんで工藤だったのかな?
市原がカウンターに移っても「誰もいない」ってなシーンがいくつかあって、これは走るべき人間が走っていなかった、ということでは?
新潟は守備がどうにも。今の中盤メンバーだとDFがMFを含めた相手攻撃陣とモロに対峙してしまうので、その辺をどう解消するのか。このままだと「相手よりも1点多く取ればいい」というしばき合いをず〜っと続けることになってしまう。
アジアカップも五輪も終わって、今回の市原みたいな「キーになる選手が不在」っていうチームが無くなってしまうと厳しいのでは。
帰り道ではたまたま市原サポのおじさんおばさんと新潟サポが交わしている会話を耳にすることが出来たが、市原サポは嘆き上手だと思わされた。そんなおばさんの名言。
「ウチは30番以上の背番号を持つ選手いないからねえ(オゼアスは34番)」
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